「菊と刀」から「レイシズム」2021/01/31 02:42

ルース・ベネディクトの「菊と刀」はアメリカでどういう位置付けをされているんだろうなと、ここのところ考えていた。
今日、改装されてから入ったことのないショッピングモールに行ってみた。
それで、中にある大きな書店に入ってこれを見つけた。
新訳とある。
彼女自身の前書きと、訳者による後書きだけでも読む価値があるように思える。
ナチスに加担していないともいえないアメリカで、文化人類学者によって、第二次世界大戦の最中に書かれた。

「レ・ミゼラブル」2021/01/12 02:53

BSで「レ・ミゼラブル」を放送するので録画しておいた。ミュージカル・ナンバーなどは有名だから凡そは知っている。
主要な配役も知っていたけどマリウスをエディ・レッドメインが演じると知らなかったから、そこは食いついた。
でもこれでは泣けない。ミュージカルとしてはいいのだろうな。
私が最初から観たいと思わなかったのは、小説をこれまでに4回読んだからだと思う。ワーテルローの戦いが長々と描写される章も真面目に読んだ。そうするうちに苦しむ人間たちを紙の中でしか認められなくなっていたかも。
あれがミュージカルになるってあまり信じられなくて、別のものとしても興味をそそられることがなかったんだな、きっと。
読んでる本は大昔も大昔、中学生の頃に父が買ってくれた新潮社の全集。二段組で3巻ある。
最初はワーテルローの戦いの章はぶっ飛ばして読んでた。3回目くらいからちゃんと読んだ。テナルディエのための章だとは理解していた。
追記。ワーテルローの戦いの章は思ったより少なかった。60ページほどだ。

「ぬるい毒」(本谷有希子)2020/10/29 21:23

図書館に予約の本が確保できたと連絡があったのでそれを取りに行った。期限を過ぎた本の返却もする。
図書館のフロアに、誕生日月のテーマでまとめた3冊の本を中身を見せずに貸し出しするという企画コーナーができていた。
少し悩んだけど借りてみた。
どんな選び方でも良いということなので7月というのを選んだ。
それの中身のひとつがこれ。知らない作家なので、すぐにページをめくってみた。
妙な始まり方で戸惑う。先入観を持つのが嫌で何も調べないようにしたのだけど、我慢できず見てしまったプロフィールで納得できた。劇団の主宰だった。
なるほど、と何故か思う。あとは好きかどうかなんだ。どうだろか。もう少し読んでみる。

「パチンコ」2020/10/27 11:38

アメリカでベストセラーになっていたものが日本語訳で今年の7月に出版された。
読みたいと思っていたので図書館の予約に入れたのだけど、新刊の割に予約数は少なかったのは些か意外に感じた。
タイトルと在日コリアンの物語ということがその理由だろうか。
実際に洋書レビュアーが書いている後書には、レビュアー自身が初めは読みたいとは思わなかったと書いている。
パチンコという遊戯に興味がなく、そもそも苦手と言っていて、私もそうだった。本好きの知り合いが話題にしていなければ手にしていなかったかもしれない。
いろいろ知りたかったこともあって、機会を捉えた。
面白かったのは事実だけど、たくさんの人が書いているような在日コリアン一家の4代、5代までを描く壮大な物語、とまでは感じなかった。舞台やその背景は世界を広げているようで、狭い感じすらあった。それでも一気に読んでしまえる魅力があるのは、やはり登場人物がいいのかな。
淡々と語られる「女の一生」の別バージョンとも。
写真は下巻の表紙。

「アレックスと私」2020/10/09 21:48

アレックスとは、あるヨウムという大型インコに付けられた名前だ。
カテゴリに「ペット」も入れたけど、アレックスはアメリカの大学の研究室で研究対象として飼われていたから、厳密にはペットではない。知り合いがヨウムを飼い始めたところから興味が湧いて、大学から出ている研究書の翻訳本は何度か図書館で借りたことがある。
ヨウムはとても賢い鳥で、アレックスはそれを十分に証明してみせた。
「アレックスと私」はタイトルから察せられる通り、研究から離れた個人的な関係を描いている。あのアレックスのこと!と、この本を教えてもらって、すぐに飛びついて買ってしまったが、読み始めることができない。
彼が思うより早く死んでしまったことを思い出した瞬間に読めなくなった。
愛していたものが死んでしまった悲しみを、この書き手と共有することが辛い。
後書きから知ったがこの本は大分前に別の出版社から出ていたらしい。その時の方が私自身には読むための体力はあったな。

「江戸にフランス革命を」2020/07/14 20:48

7月14日は「ラ・マルセイエーズ」ということで橋本治「江戸にフランス革命を」
江戸って何?を解き明かしてくれるはずの一冊。
昭和平成にかけての知の巨人の一人と思っている。
あの語り口そのままで江戸の文化を語り尽くす。
こんなのはさ大したことないの、とか言い切るも疎かにしている訳ではないのを、もちろん読者は知っている。
葛飾北斎の春画も実はちっともエロくないと分析されて、身も蓋も無い。その分言葉をギチギチに書いているのだと言われて、なるほどなと思う。
永青文庫の「春画展」を観に行ったことがある。北斎の絵で骨格の捉え方の確かさに驚いたのが、我ながら意外なことだった。

ダニエル・デフォー「ペスト」2020/04/23 19:35

コロナが席巻し始めてからカミユの「ペスト」が早いうちに売り切れ続出だった。その時少しも思い出すこともなかった本が、一週間ほど前に地元の書店をうろうろしていたらあった。ダニエル・デフォーの「ペスト」
デフォーといえば「ロビンソン・クルーソー」で読んだのは半世紀くらい前かも。
ん、よく考えてみれば今読むべきは「ロビンソン・クルーソー」じゃない?
孤独に打ち勝つノウハウないかな。フライデーがいないな。猫のフライデーは今はいないからな。ハナは適任だったなあ。

シュテファン・ツヴァイク2020/04/04 00:14

ツヴァイクは好きだったが若い頃に読んだきりで全集の2、3冊を買った覚えがあるのだけど1しか見当たらない。ばらばらになっちゃったかな。
自伝でもある「昨日の世界」についてのツィートを見かけて読んでみたくなった。
ツヴァイクが最近特に何度も頭に浮かんでくるのは「ラデツキー行進曲」を書いたヨーゼフ・ロートを知ったからだ。
ナチスの迫害のあの時代にツヴァイクはロートを支援した人の中の一人だったということも知ったからだ。
ロートやツヴァイクの人生をこんな風に見つめ直すことになろうとは思わなかった。彼らに起きたこととの距離はとても遠かったはずなのに今は間近だ。
今、日本は酷いことになっているよ。私はとても心細い。
この国は国民の一部を見捨てようとしていることがはっきりした。

「幽霊は臆病者(The Canterville Ghost)1944」2020/02/08 14:53

オスカー・ワイルドの「カンタヴィルの幽霊」を翻案したコメディ。脚本エドウィン・ブラム、監督ジュールス・ダッシン。出演チャールズ・ロートン、ロバート・ヤング、マーガレット・オブライエンetc.
小さい頃に観た映画が何だったのか知りたいと思って何十年もの人生の途中、何度か調べたけど見つかっていない。それはイギリスの城の中の高い梁を足に囚人の鎖をつけたまま歩く男の幽霊が出てくる作品だった。時代は18世紀くらいなのかな。
今回のDVDは図書館で見かけて借りてきた。もうそれらしく見えるから期待度も増したが、探していたものではなかった。しかし、期待外れの面白さだった。
チャールズ・ロートンのカンタヴィル家の亡霊は彼が演じるのだからポッチャリ系でフォルスタッフみたいだ。
第二次大戦中、接収されたカンタヴィルの末裔が住む城の中での出来事で、そこの当主は7歳の少女。
アメリカ兵が大勢やってきて幽霊を暴き出し思いがけない展開になる。アメリカ兵はロバート・ヤング。アメリカの古いホーム・ドラマの父親役で見たことがある。いかにもアメリカ的な笑顔のハンサム。
だらだら書いているけど、第二次大戦のイギリス、アメリカの背景が分からないとちょっとどこが面白いか分からないかな。
チャールズ・ロートンが最高なんで、私としては文句なし。彼は「情婦」にも出てやはりいいのだ。

「絵本に見るアートの100年〜ダダからニュー・ペインティングまで」2019/11/14 11:32

この展示会に伴う企画の「美術と絵本ー冒険と革新」という講演会に行ってきた。登場する芸術家の数多し。
国立子ども図書館は初めてだったが、講演の後、閉館まで1時間もなかったので展示内容をゆっくり消化できなかった。
後期はゆっくり見に来る。