「NINAGAWAマクベス」(1985)2017/02/17 11:51

CSで蜷川幸雄、平幹二朗への追悼番組として放送されたものを録画して観た。
小田島雄志の訳本、衣装は辻村寿三郎、舞台美術は妹尾河童。
演出や舞台美術、衣装の素晴らしさは言うまでもないが、平幹二朗の只ならない存在感は今更ながら圧倒的。
役者の狡猾さと言うのか、あの顔つき眼の表情。天才が努力して露われるものなのか。
マクベス夫人は栗原小巻で、やはり舞台役者の面目躍如。
マクベスの最後はマクダフの剣に倒れた後、幼児のように体を縮めていく姿で終わる。
これが二、三年前に観た市村版にあったかどうか覚えていないが、このような演出の姿が似合う妖気漂う俳優はなかなかいない。

「リチャード三世」2017/02/17 23:38

映画館でアルメイダ劇場での上演作を観る。
現代ならではの演出がやはり印象に残る。
何年か前にリチャード三世の骨が発見されたニュースがあったが、それを舞台のプロローグにした。
それにしても今日観る「リチャード三世」がこれ程にリアリティを持って心に迫るとは。
反知性社会である今だからこそか。
いつもならリチャードを見るとき、グロテスクを楽しんでいた。
今は楽しむ余裕のない状況でグロテスクとはこういうものだと突きつけられて、言葉を失っている。現実に起こっていることが頭をよぎる。
それだからこその素晴らしい芝居。
レイフ・ファインズのリチャードの繊細ないやらしさが際立った。
バネッサ・レッドグレープの舞台を初めて眼にできたのは幸せ。
訳本でにしろ、読み返さずにいられない。

知の巨人たちを見上げることしかできない。