日常には終わりがある2025/02/08 03:12

 昨年から、知り合いの死を受け止めなくてはならぬ場面が多いのだ。もっとも、歳をとれば、そんな機会は増えるに決まっているよと言われたけど。
 死を目前にしている人を、そうと知っている私は、その彼女を見続けているのだ。まだ大丈夫と思いながら見つめているのだ。
 それがしんどいので、目を逸らし社会の出来事を相手にずっと怒っている。起こりっぱなしだ。そこで起こる問題の方へ気持ちを寄せている。
 そうこうするうち、不意打ちのように死の知らせを受け取るのだ。不意打ちには違いない。明日と思っていたら、今日の今だったのだから。
 ある日常は終わり、別の日常はまだ続きがある。

明けた新年 初仕事2025/01/01 20:49

 新年が明けたが、自分が無事に年を越せたことに感謝するも、特にめでたい感じもない。敬愛する人が何人か亡くなって、それが響いているかな。それでなくても、パレスチナの虐殺はよ。それも様々な距離感で起きていることの一例に過ぎない。
 とはいえ、大晦日までの2024年の師走は、何かと楽しく過ごすことができた。本日元旦は終日家にいる。いい気分だ。
 オレンジという色が捨てがたいものの、やや持て余したクッキーの缶を、コレクションボックスにした。最初に収まるのは、薬の日付から看取りの日まで約二週間を残す、キジトラさんちゃんの薬であった。さほどキジルシでもない。

ねこの避難/サンドラのこと2024/10/01 23:21

 台風が接近してきて「避難」の文字が踊ると、サンドラのことを思い出すのはパターンになっている。何年か前に強烈な台風がやってきた時のことだ。
 当時その台風情報によれば、今まで経験のない酷い被害を覚悟しろというくらいの強さだったので、ゼロメートル地帯でマンションの一階に住む現実を考えた。それで避難場所が目の前の小学校だったから移動が楽であったこともあり、サンドラを連れて避難することにした。
 しかし災害を予測しての避難は初めてだったせいか、緊張が災いして判断が悲観的な方に傾いて行った。ペットのキャリーやケージは小学校の一階の入り口付近に置くことになっている。そこにいれば、サンドラが聞きなれない犬や猫の鳴き声に怯えるに違いないとか、浸水は必ずある、だから低い場所に置いてはおけない、溺れさせてはならない、なんとしても助けるという考えにガチガチに捉われてしまった。そこで、サンドラだけマンションの5階に住む友人の家に預けることを考えたのだ。
 しかし、それは慣れた環境以外は恐怖の対象でしかないサンドラにとって、拷問に近かった。今までいた猫たちの最後の生き残りであるサンドラをこれ以上ないくらい大切に考えてきたのに、おかしなバイアスがかかってしまったせいで、サンドラが本当に望むことを見失った。
 生かすことを願ったにもかかわらず、私のしたことはサンドラの命を縮めた。家族の避難に付き添って留守の友人の家にただひとり預けられたサンドラの心臓が、恐怖と不安で早鐘のように打ち続けられたのは確かだ。そこで命が削られた。
 その年の12月の中旬を過ぎた頃、サンドラの後ろ足の肉球を触ったらひんやりしてた。そのひんやりは独特なもので経験則による直感のようなものだけど、床を歩いた冷たさとは違うと私には分かっていた。寿命の尽きるときが近い徴候だ。翌年の2月にサンドラは死んだ。避難からたった4ヶ月だ。
 こんなふうに文字にすると、気持ちをコントロールできなくなってただやるせない。
 miss you Sandra.

猫の話ばかりしたい2024/03/13 02:08

 落ち込むなあ。気分を変えてと、適当にファイルから拾ったら、窓辺で外を眺めるニコルかサンドラか、サムネールが小さくてすぐには見分けのつかない写真だったが、拡大して確認したらサンドラの後ろ姿だと分かった。
 サンドラはこの場所が好きだったよ。
 
 miss you♡

実家の庭の雑草は「ヒメオドリコソウ」だったよ2021/03/08 23:43

父の残したグラスを捨てられず、残しておいたのを利用。
大きな花いけにさす花に悩まなくて楽だ。
ぼうぼうの庭に咲き始めた雑草をチョンチョンと切って入れた。
ホトケノザと言うのだそう。お名前はかねがね。
可愛くていいよ。

追記:友人からメッセージが来て、非常によく似てるけど違うと指摘してくれた。
これは「ヒメオドリコソウ」というのだそう。確かによく似てるけど違ってた。こちらの名前は可愛くてぴったり似合うね。

ハナが17歳で逝った12月23日2020/12/26 02:29

ハナに会いたい。3年前に死んだハナに会いたい。
私の掛け布団の上で過ごしていて、ふらふらになっても変わらず私の間近にいたがった。それなのに滑り落ちてベッドの脇で息を引き取った無念の猫。
ハナの心臓の音を聴きながら最後を見届けるつもりで寄り添ったのに、疲れ切っていた私はそのまま眠ってしまった。
そのわずかな間にハナは落ちた。トイレに行こうとしたのか、何かの理由でもがいて滑り落ちたのかわからない。
空を飛ぶような形で床にいたの。
寂しいよ。行けばそこで会えるなら、私も追いかけたいよ。

「アレックスと私」2020/10/09 21:48

アレックスとは、あるヨウムという大型インコに付けられた名前だ。
カテゴリに「ペット」も入れたけど、アレックスはアメリカの大学の研究室で研究対象として飼われていたから、厳密にはペットではない。知り合いがヨウムを飼い始めたところから興味が湧いて、大学から出ている研究書の翻訳本は何度か図書館で借りたことがある。
ヨウムはとても賢い鳥で、アレックスはそれを十分に証明してみせた。
「アレックスと私」はタイトルから察せられる通り、研究から離れた個人的な関係を描いている。あのアレックスのこと!と、この本を教えてもらって、すぐに飛びついて買ってしまったが、読み始めることができない。
彼が思うより早く死んでしまったことを思い出した瞬間に読めなくなった。
愛していたものが死んでしまった悲しみを、この書き手と共有することが辛い。
後書きから知ったがこの本は大分前に別の出版社から出ていたらしい。その時の方が私自身には読むための体力はあったな。

母の香水2020/09/06 03:34

実家の洗面所にある、父が作った棚はそれほど大きくない。そこに置いてあるものをちょっといじったら、母の香水の瓶があった。
あるのは知っていたので、ああそうだったという感じ。
マダム・ロシャスのオード・トワレだ。昔々私が使っていたのを、母も気に入っていたのであげたのだと思う。
私は猫を飼い始めてもしばらくは使っていたのだけど、嗅覚の鋭い動物にはやはり酷だと思ってやめた。それからだから、とんでもなく時間が経っているな。
母は昨年の3月に亡くなった。そのことを確認して、時間の尺を確かめる。

クレマチス2020/04/26 20:28

実家のクレマチスが花を咲かせた。白しか見たことがなかったが、今年のは少しピンクがかっている。
この株がド派手なトケイソウに圧されてなかなか思うように花をつけなかったからここ数年ガッカリが続いていたのだけど、貫禄のあるのがデビューで嬉しい。
それでも相変わらず気持ちはあがらない。

普段ないこと。2020/04/18 19:14

3月25日だったかそれまで実行することしか口にしていなかった日本は渋々オリンピックを諦めた。
諦めたと思うや、直ぐにコロナが最大重要案件になり、4月11日主要都市に非常事態宣言が出された状態で人が半分凍りついた。
繁華街はもちろん、デパート、ショッピングモールなどの営業の休止、時間の短縮などなど。
4月18日現在非常事態宣言は全国へ渡った。
個人事業主は死に体となって飲食店は早くも閉店を決めたという話が次々に湧いてくる。
免疫が作られないと言われている未知の感染症COVID19=コロナは今一番恐ろしい敵だ。
私の場合は昨年3月末に亡くなった母や、この2月に見送ったサンドラのことは慰めだ。外出禁止などがある中で彼らの健康に配慮しなくてはならないのは精神的にも随分しんどいと思う。
サンドラにはとても会いたいけど。::