「足跡姫 時代錯誤冬幽霊」 ― 2017/02/01 23:50

NODA・MAPの21回公演。東京芸術劇場プレイハウスで2時から。
サブタイトルの「時代錯誤冬幽霊」は「ときあやまってふゆのゆうれい」と読みが附ってある。
宮沢りえ、妻夫木聡、古田新太、佐藤隆太、鈴木杏、池谷のぶえ、中村扇雀、野田秀樹。
「勘三郎へのオマージュ」と謳っているのでそのつもりで観る。
そのつもりでなくても主役は「三、四代目出雲阿国」であり、その弟は「淋しがり屋サルワカ」であったりするので歌舞伎に因む物語とわかる。
数にこだわる台詞がずいぶん出てきて、最後になるほどと思う。
ここを観るためにそれまでの時間を過ごしたのだと思った。
「鈴木杏」はとても存在感を感じさせる。
「佐藤隆太」は何年か前に見た舞台であまりいいと思わなかったのは、滑舌やリズムが悪いと感じたからなんだけど、今回は力がついたのか、すごく良かった。
主役は言うまでもなく。
「古田新太」の「死体/売れない幽霊小説家」役はハマっているな。
「中村扇雀」の落ち着いた歌舞伎役者ぶり。時代劇だけど現代劇って中で小気味いい雰囲気。
周りとのギャップが楽しい。
サブタイトルの「時代錯誤冬幽霊」は「ときあやまってふゆのゆうれい」と読みが附ってある。
宮沢りえ、妻夫木聡、古田新太、佐藤隆太、鈴木杏、池谷のぶえ、中村扇雀、野田秀樹。
「勘三郎へのオマージュ」と謳っているのでそのつもりで観る。
そのつもりでなくても主役は「三、四代目出雲阿国」であり、その弟は「淋しがり屋サルワカ」であったりするので歌舞伎に因む物語とわかる。
数にこだわる台詞がずいぶん出てきて、最後になるほどと思う。
ここを観るためにそれまでの時間を過ごしたのだと思った。
「鈴木杏」はとても存在感を感じさせる。
「佐藤隆太」は何年か前に見た舞台であまりいいと思わなかったのは、滑舌やリズムが悪いと感じたからなんだけど、今回は力がついたのか、すごく良かった。
主役は言うまでもなく。
「古田新太」の「死体/売れない幽霊小説家」役はハマっているな。
「中村扇雀」の落ち着いた歌舞伎役者ぶり。時代劇だけど現代劇って中で小気味いい雰囲気。
周りとのギャップが楽しい。
「レオナルド・ダ・ヴィンチ 美と知の迷宮」 ― 2017/02/11 00:18

シネスイッチ銀座で。
まず失望したのは吹替になっていたことだ。
それから作品や登場人物の紹介キャプションがあっという間に消えてしまうこと。
全て日本語だからわかりやすいかというとむしろ反対で、イタリアの良い香りは一切なくなってテレビの美術番組を見せられている気分になった。
レオナルド・ダ・ヴィンチは天才であり、その作品はただのメモまで貴重で素晴らしいものだ。そしてたくさんの謎があることもわかっている。
その謎を解き明かしたのなら知りたいと思って映画館に足を運んだ。
残念だけどレオナルドを巡る重要な人物を役者がどんなに似せて演じて見せても、吹替による失望を補うものにはならなかった。
役者が出るならなおさらそのようなことはするべきではなかったと思う。
まず失望したのは吹替になっていたことだ。
それから作品や登場人物の紹介キャプションがあっという間に消えてしまうこと。
全て日本語だからわかりやすいかというとむしろ反対で、イタリアの良い香りは一切なくなってテレビの美術番組を見せられている気分になった。
レオナルド・ダ・ヴィンチは天才であり、その作品はただのメモまで貴重で素晴らしいものだ。そしてたくさんの謎があることもわかっている。
その謎を解き明かしたのなら知りたいと思って映画館に足を運んだ。
残念だけどレオナルドを巡る重要な人物を役者がどんなに似せて演じて見せても、吹替による失望を補うものにはならなかった。
役者が出るならなおさらそのようなことはするべきではなかったと思う。
「火花」 ― 2017/02/11 22:39
又吉直樹著「火花」を月刊文藝春秋で読んだ。
芥川賞作品として掲載されたのは平成27年9月。
だいぶ経っているけど。
単純な好き嫌いあたりからのことでいうと、最初からそれ程失望させられないような気はしていた。
息詰まって苦しいし、お笑いもあまり突き詰めないでほしいと思ったが、どんなものでも正しい方向で悩めたら苦労はないし辛さは付き物なんだね。
って今更なんだ!分かったことを言うな!
つまり、少々消化不良だけどなんだか面白かった。
芥川賞作品として掲載されたのは平成27年9月。
だいぶ経っているけど。
単純な好き嫌いあたりからのことでいうと、最初からそれ程失望させられないような気はしていた。
息詰まって苦しいし、お笑いもあまり突き詰めないでほしいと思ったが、どんなものでも正しい方向で悩めたら苦労はないし辛さは付き物なんだね。
って今更なんだ!分かったことを言うな!
つまり、少々消化不良だけどなんだか面白かった。
土手の伊勢屋で天丼を ― 2017/02/13 00:13

2月7日の火曜日に友人と出かけた。風は強いが晴天。寒い。
ン十年ぶりで「土手の伊勢屋」の天丼を味わってみたくなった。
全くグルメではないので名物を並んでまで味わいに行くなんてこと殆どないのだけど、有り難さもわからず当時の勤め先の上司にご馳走してもらうばかりだったのを反省してみるつもりで。
夜はやっておらず昼飯しかないし。
三ノ輪から歩いて向かう途中にジョーがいた。ジョーは「あしたのジョー」だ。等身大のジョー。ジョーが通ったジムはこの辺りだったらしいと初めて知った。
それからしばらく行くと伊勢屋はある。やはり人は並んではいるが覚悟の上のこともあり、十人ちょっとくらいどうってことない。
1500円のこじんまりしているのを頼んでちょうどよかった。
海老二本、キスの二枚重ね、イカ、獅子唐。
その上は穴子なんかも乗っていて心が動いたんだけど、また今度。
友人は奈良の人。関東には随分住んで長いけれどいつまで経っても関西から来た観光客キャラ。
今戸に仕事で通っていたことがありながら、三ノ輪との位置関係が理解できないほど地図が怪しくなっている私には丁度いい連れだった。
ン十年ぶりで「土手の伊勢屋」の天丼を味わってみたくなった。
全くグルメではないので名物を並んでまで味わいに行くなんてこと殆どないのだけど、有り難さもわからず当時の勤め先の上司にご馳走してもらうばかりだったのを反省してみるつもりで。
夜はやっておらず昼飯しかないし。
三ノ輪から歩いて向かう途中にジョーがいた。ジョーは「あしたのジョー」だ。等身大のジョー。ジョーが通ったジムはこの辺りだったらしいと初めて知った。
それからしばらく行くと伊勢屋はある。やはり人は並んではいるが覚悟の上のこともあり、十人ちょっとくらいどうってことない。
1500円のこじんまりしているのを頼んでちょうどよかった。
海老二本、キスの二枚重ね、イカ、獅子唐。
その上は穴子なんかも乗っていて心が動いたんだけど、また今度。
友人は奈良の人。関東には随分住んで長いけれどいつまで経っても関西から来た観光客キャラ。
今戸に仕事で通っていたことがありながら、三ノ輪との位置関係が理解できないほど地図が怪しくなっている私には丁度いい連れだった。
NHKEテレ ETV特集「その名は、ギリヤーク尼ヶ崎 職業大道芸人」 ― 2017/02/13 23:55

時は残酷だが奇跡を見た。
若い頃、上野や新宿で彼の踊るのを何度か見たことがあった。いつも偶々出会うのだ。
これほどまでに激しくて痛みを感じる踊りは私には受け入れ難いもので、未だにその感覚は拭えていないように思う。
このドキュメンタリはギリヤーク尼ヶ崎の2016年10月10日の新宿公演までの三ヶ月間の記録で、彼は86歳。
なんらかの病気で思うように動けなくなった彼は痛ましいほどだ。その介護をするのは約10歳年下の弟。
病名がパーキンソン病とわかるのは公演間近で、病名が判明したためか、あるいは適切な投薬のためなのか驚くほど体が動いてきている。表情も明るくなった。
大道芸人という名の表現者=芸術家の最後を見届ける覚悟ができるか、と思いながら見終わる。
ディレクターの言葉がここで見られる。
http://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=09094
若い頃、上野や新宿で彼の踊るのを何度か見たことがあった。いつも偶々出会うのだ。
これほどまでに激しくて痛みを感じる踊りは私には受け入れ難いもので、未だにその感覚は拭えていないように思う。
このドキュメンタリはギリヤーク尼ヶ崎の2016年10月10日の新宿公演までの三ヶ月間の記録で、彼は86歳。
なんらかの病気で思うように動けなくなった彼は痛ましいほどだ。その介護をするのは約10歳年下の弟。
病名がパーキンソン病とわかるのは公演間近で、病名が判明したためか、あるいは適切な投薬のためなのか驚くほど体が動いてきている。表情も明るくなった。
大道芸人という名の表現者=芸術家の最後を見届ける覚悟ができるか、と思いながら見終わる。
ディレクターの言葉がここで見られる。
http://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=09094
「天井桟敷の人々」から「マティスとルオー展」 ― 2017/02/16 23:37

深夜にCSで「天井桟敷の人々」をやるので録画したのを頭の部分を少し観た。美しい映画であることを再認識。何度も観ているけど本当にいい映画だ。
マルセル・カルネは戦時下でこの素晴らしいものを作った。
午後は「マティスとルオー展」パナソニック汐留ミュージアム。
彼らは親交が深く、手紙のやり取りが多くあり手紙を追いながら作品を観ていく趣向。
二次大戦下のフランスで彼らも厳しい時を過ごしたようで、同じその時に「天井桟敷の人々」を作っていたカルネ等と交わる機会はなかったのだろうか、などと思いながら観た。
偉大な優しい芸術家たち。
マルセル・カルネは戦時下でこの素晴らしいものを作った。
午後は「マティスとルオー展」パナソニック汐留ミュージアム。
彼らは親交が深く、手紙のやり取りが多くあり手紙を追いながら作品を観ていく趣向。
二次大戦下のフランスで彼らも厳しい時を過ごしたようで、同じその時に「天井桟敷の人々」を作っていたカルネ等と交わる機会はなかったのだろうか、などと思いながら観た。
偉大な優しい芸術家たち。
「NINAGAWAマクベス」(1985) ― 2017/02/17 11:51

CSで蜷川幸雄、平幹二朗への追悼番組として放送されたものを録画して観た。
小田島雄志の訳本、衣装は辻村寿三郎、舞台美術は妹尾河童。
演出や舞台美術、衣装の素晴らしさは言うまでもないが、平幹二朗の只ならない存在感は今更ながら圧倒的。
役者の狡猾さと言うのか、あの顔つき眼の表情。天才が努力して露われるものなのか。
マクベス夫人は栗原小巻で、やはり舞台役者の面目躍如。
マクベスの最後はマクダフの剣に倒れた後、幼児のように体を縮めていく姿で終わる。
これが二、三年前に観た市村版にあったかどうか覚えていないが、このような演出の姿が似合う妖気漂う俳優はなかなかいない。
小田島雄志の訳本、衣装は辻村寿三郎、舞台美術は妹尾河童。
演出や舞台美術、衣装の素晴らしさは言うまでもないが、平幹二朗の只ならない存在感は今更ながら圧倒的。
役者の狡猾さと言うのか、あの顔つき眼の表情。天才が努力して露われるものなのか。
マクベス夫人は栗原小巻で、やはり舞台役者の面目躍如。
マクベスの最後はマクダフの剣に倒れた後、幼児のように体を縮めていく姿で終わる。
これが二、三年前に観た市村版にあったかどうか覚えていないが、このような演出の姿が似合う妖気漂う俳優はなかなかいない。
「リチャード三世」 ― 2017/02/17 23:38

映画館でアルメイダ劇場での上演作を観る。
現代ならではの演出がやはり印象に残る。
何年か前にリチャード三世の骨が発見されたニュースがあったが、それを舞台のプロローグにした。
それにしても今日観る「リチャード三世」がこれ程にリアリティを持って心に迫るとは。
反知性社会である今だからこそか。
いつもならリチャードを見るとき、グロテスクを楽しんでいた。
今は楽しむ余裕のない状況でグロテスクとはこういうものだと突きつけられて、言葉を失っている。現実に起こっていることが頭をよぎる。
それだからこその素晴らしい芝居。
レイフ・ファインズのリチャードの繊細ないやらしさが際立った。
バネッサ・レッドグレープの舞台を初めて眼にできたのは幸せ。
訳本でにしろ、読み返さずにいられない。
知の巨人たちを見上げることしかできない。
現代ならではの演出がやはり印象に残る。
何年か前にリチャード三世の骨が発見されたニュースがあったが、それを舞台のプロローグにした。
それにしても今日観る「リチャード三世」がこれ程にリアリティを持って心に迫るとは。
反知性社会である今だからこそか。
いつもならリチャードを見るとき、グロテスクを楽しんでいた。
今は楽しむ余裕のない状況でグロテスクとはこういうものだと突きつけられて、言葉を失っている。現実に起こっていることが頭をよぎる。
それだからこその素晴らしい芝居。
レイフ・ファインズのリチャードの繊細ないやらしさが際立った。
バネッサ・レッドグレープの舞台を初めて眼にできたのは幸せ。
訳本でにしろ、読み返さずにいられない。
知の巨人たちを見上げることしかできない。
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