正月だった2024/01/07 23:50

 二年ぶりの米團治の噺はよう効いた。凝りが解けた。文楽が東京で人気があるの喜んでた。まあ上手とは思うけど。
 三席、芝居繋がりで賑やかで面白かった。仕事もせんでその日観てきた芝居の場をなりきって演じるアホぼんとか。米團治が最初の枕で落語界には珍しくうちは世襲だったというところから、歌舞伎もそうやさかい好きなんや〜って繋がりの芝居三昧。
 夢洲のことちょっと言ってたな。あの政党とこの政党があそこで何やらやろうとしてるが地盤ズブズブなんでっせって。ちゃんと見てはる。
 そういや小痴楽は東の世襲。どっちも言葉がいいねえ。ちゃきちゃきやん。ああ、林家もそうだったがごちゃごちゃしてて小朝に落ち着く。
.........
 元旦の夕方の出来事は相当な衝撃で気分ぼこぼこだった。チケットの案内通知を見て急に取ったのが2日の夜。行けてよかったねえ。

今年が終わりそうだ2022/12/27 02:02

12月はエンジンがかかり展覧会、芝居、映画をそれなりに観ることができた。ライブはなかったけど、その前に聴きに行ってるからそれを足したら完成ね。美しい本も買ったな。
体力がだいぶ取り戻せた実感があって、重い気分から解放されたのか、楽しい気分が持続している。(変なハイ状態じゃないだろな)
戯曲、脚本、台本呼称はなんでもいいが、芝居の言葉を見直すことがこれがまた、とてつもなく楽しいことのように感じる。今月観た芝居のいくつかはもとの戯曲を読めというメッセージをくれている。シェイクスピアは素晴らしい残り香。
あとどれだけ生きるんだろうか。そんな考えがかなりの頻度で頭に浮かぶのが当然の年頃なんだわ。心は命の奴隷だからね。

訃報も混じっていた。今月はいくつか縁のある人の訃報があった。知った時の気持ちの色合いは少しづつ違う。

「ホロウ・クラウンー嘆きの王冠 Hollow Crown」2022/12/18 15:05

このシリーズの最後を飾るのは「リチャード3世」だから、見終わったばかりのリチャードのトピック。どのリチャード三世が好きかなんて好みの問題で、いくつかのリチャード3世の中で、私はアル・パチーノのリチャードが物静かで凄みがあって好きだ(でもいずれも一度しか観ていないからな) このホロウ・クラウンのカンバーバッチのリチャードは好きじゃなかった。演出のせいでそう感じただけかもしれないから、本当に当てにならないという意味で単なる好みです。あとは自身の教養のなさですな。呪いの場面のアレンジは、ちょっとひねりが効いていて興味深いからもう一度構成を見るべきところと思うが、好き嫌いならあまり好きじゃなかった。

ヘンリー5世がヒドルストンで目がハートに変わったのは、ひよこが生まれて初めて見た生き物を母親と認定するのと同じ作用が働いただけかも。他にヘンリー5世は文字でしか縁がないのです。

百年戦争、薔薇戦争を背景とした歴代国王の名のついたシェイクスピアの作品で読んだのは「リチャード三世」と「ヘンリー五世」だけだ。故に時代に沿ってシェイクスピアの王の物語が一連のシリーズに映像化されたことは、私にとってこの上ないありがたき幸せ(加えてチャンネル登録7日間無料というサービスを利用)

で、「鎌倉殿の13人」が最終回を迎えた。シェイクスピア劇を観るような面白さだったから、途中からにしてもずっと楽しめたのだけど、先週あたりでヘンリー五世のアジアンクールの演説と、政子の演説を続けて聞くタイミングになったのは、面白い偶然だった。

シーズン1の「リチャード2世」は舞台装置と演出の際どさで好き。

「泥人魚」2021/12/15 20:46

唐十郎原作の「泥人魚」。主演は宮沢りえと磯村勇斗。
井上ひさしも絶賛したこの作品、予定が合わなくてチケットを取らなかったが、配信ライブがあったのでそれを購入した。見逃し配信は無いので、開演時まで緊張してPCの周りをうろうろした。
最初はノートPCのモニターの小ささに悲観的だったが、中盤からは舞台に引き込まれた。
宮沢りえの美しさは際立っていて、唐十郎作品・蜷川幸雄演出「下谷万年町物語」を始めとする色々な役柄の印象を超えた。
岡田義徳が意外なキャスティングと思ったけれど、魅力に気がつかないだけだったのかな。元々嫌いな役者じゃないからか、中盤からのややこしい立ち回りが合っていると思った。
磯村勇斗は「きのうなに食べた」のジルベール役で初めて認識した人。映画版早く観なくちゃ終わっちゃう。

YouTubeから #泥人魚
https://youtu.be/uMYBBRr-aw8

https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/21_doroningyo/flyer.pdf

受賞やら訃報、そのほか2021/10/26 20:15

天皇家の娘が一般人との結婚を発表し、唐十郎が文化功労者に選ばれ、白土三平と弟の岡本鉄二氏がわずかな日にちを隔てて亡くなったと、ニュース色々。
衆院の選挙報道をテレビは本気で取り上げず、天皇家子女の結婚を情緒的な言葉で盛り上げるばかりだ。ブランドは消せないがそこそこ削った彼女の結婚はいい始まり方だ。離婚があってもOKだ。すべて彼女の人生じゃないか。天皇制の犠牲者で終わるのを拒否はした。
文化功労者とはなんぞ、老境とは?ブルータスよ。
「カムイ外伝」をはじめとする大作をものした漫画界の巨匠は89歳で亡くなった。
東日本大震災から10年。悪政が続いたところにコロナが降りかかる。そしてまだ収束した訳じゃない。
自虐的な歴史観なんてものじゃない。国民が自虐が好きだから今の政府が保っているのよ。何をやっても政治は変わらないと言って、考えることをやめ、メディアは権力者につく。DVから逃れられない。

以下受賞に関する毎日新聞の唐十郎氏の取材コメント。
「2005年に紫綬褒章の内示を辞退した者に再度光を当てて頂けましたので大変驚きましたが謹んでお受け致します。井上ひさしさん、蜷川幸雄さん、山崎正和さん以来しばらく演劇界からの受賞者が不在とお聞きしました。この受賞が次の演劇人に結びつければ尚(なお)嬉(うれ)しいです。昨年から劇団唐組も芝居の延期や中止に追い込まれた現状に異風を起こしたいと願っております」

「三月大歌舞伎」はブルー2021/03/29 23:34

歌舞伎座へ。
三月大歌舞伎千穐楽の三部、6時半開演「桜門五三桐(さんもんごさんのきり)」と「隅田川」
五右衛門の中村吉右衛門は日曜日に倒れ入院したまま、代役は久吉を演じていた松本幸四郎が立った。
声が似ていた。身内ということもあるだろうけど、歳をとって貫禄が出たせいかしら。桜の満開を舞台上の南禅寺で見る。
「隅田川」は坂東玉三郎。
川が重要な要素になるドラマだから、因果を感じた。見失なった子供を追う狂った女。青い色彩で纏められた舞台が美しい。
吉右衛門さんのことといい、「隅田川」といい、物哀しい喪失感で劇場を出た。播磨屋さん、再び舞台に戻ってほしい。

追記
気になって買った能楽タイムズに野村萬斎さんの対談記事があり、自らのアレンジで上演された「隅田川」に言及していた。そこで持論とした上で語っている部分をそのまま引用。
「晩春の夜明けで終わる能<隅田川>は奇跡を肯定する癒しの物語であり、鎮魂と再生の劇であって、荒涼たる絶望のドラマではない」
これで文字通り救われた。乱暴すぎる理解から解放された。

「シェイクスピアの庭(All Is True)2019」2020/11/28 21:59

ケネス・ブラナー監督主演、他にジュディ・デンチ、イアン・マッケラン。
特典映像にはK・ブラナーの思いを語るインタビューもあって、シェイクスピアと彼との仲を推し量るのに役に立つ。
ケネス・ブラナーの「から騒ぎ」を劇場で観ている。ケネス・ブラナーとマイケル・キートンが目当てだったのかな。デンゼル・ワシントンもいたな。よく覚えているような気がしているのは、たまにうちにある映画のプログラムを手に取っているからだ、と思う。
その「から騒ぎ」から何十年経つのか。K・ブラナーも歳を取り私も歳を取りで、彼がシェイクスピアの晩年を演じる作品を観ることになったんだと、事実確認だけで感無量。
観終わってからNHK-FMをつけたらFMシアターの時間で「ロミオとジュリエット」をネタにしているドラマだった。
シェイクスピアがシンクロニシティ。

「田中泯」の踊り(東京芸術劇場で)2018/11/23 23:49

田中泯が好きになったのは2005年の公開時に観た「メゾン・ド・ヒミコ」という映画がきっかけだった。それまでただ知っていた「舞踏家」より「演技者」としての田中泯に俄然興味が湧いた。
この映画の監督が誰か全く知ろうともしないまま、何年もこの映画が好きだと言っていたのも我ながら驚いているけど、その監督こそ踊りの後のトークでゲストとなった犬童一心監督、その人だった。
犬童一心という監督には特に興味もなく、作品を観たことがないと断言していた。
田中泯のドキュメンタリーを犬童監督が撮っているそうでその縁でのゲスト出演だろう。
踊りは凄い。1945年生まれの人の動きとは思えないステップ。柔軟で手足の爪の先までコントロールしている。

椿組「天守物語 夜叉ヶ池編」2018/07/18 18:08

椿組は初見のこれは13日に行った。金曜日だった。
夜叉ヶ池編とあるのは天守物語に他のストーリーを絡ませたものだからだ。
花園神社の中で開場までの時間を潰しながら、赤は重要な色なのだなと改めて思う。鳥居なんかの色と芝居のポスターが呼応している。
しかし!おバカな私。
何も気づかず只々その存在感に感心していたが、天守の富姫を演じたのは松本紀保。
なんだか字面に見覚えがとか思っていたがよく良く考えてみればあの松本紀保だ! 丈もあり声も深くよく通り、美しく統べる人としての貫禄があった。初めて観たがこれほどの実力の備わった人だったんだ。
「天守物語」は玉三郎丈がもう最高と思っているがこれを演じる以上はただ観たことがあるでは済まないだろうな。どのような思いで舞台に立ったのか。
でも素晴らしかったな。

NTL「誰もいない国」2018/07/18 16:33

ナショナル・シアター・ライブ「誰もいない国」をシネリーブル池袋で観た。
演出 ショーン・マサイアス(『ベント』)
出演 イアン・マッケラン、パトリック・スチュワート、オーウェン・ティール(「ゲーム・オブ・スローンズ」) ダミアン・モロニー(『ハード・プロブレム』)
ハロルド・ピンターの作品なので不条理感で訳わからないかもと思いながら、役者が観たくて参上。余談だが私としては大事な関連事項であるのは演出のショーン・マサイアスは映画「ベント 堕ちた饗宴」の監督でもあった事だ。
この「ベント」は映画も印象に残る作品だったし佐々木蔵之介、北村有起哉出演の舞台も観た。
しかしながら「誰もいない国」は分からない。それでも面白いと思うのはその場のやり取りで、役者の表情のアップや細かい仕草の妙がカメラによってはっきりと目にすることができる。これで満足する。
何を観たか、何か訳のわからないものか。
どこにあるか分からない切り取られた時間がそこにあったという感じ。
最後のカーテンコールが終わるとQ&Aのコーナーがあり、4人の役者と演出家が登壇した。その中での話は理解しないこの頭には良いガイダンスになった。
役者の演じる喜びが何より伝わってきたことは重要。
マッケランがサーの称号を持っているのは知っていたけれどパトリック・スチュアートもまた、とは知らなかった。
観てよかった♡