「ベケット Becket 」(1964)2025/05/07 21:30

 タイトルを見て"あの" ベケットと思い込んでしまったが、違うものだった。
 Wikipediaから映画「ベケット」についての概要を引用しとこう。
「『ベケット』(Becket)は、1964年のイギリス・アメリカ合作の歴史映画である。トマス・ベケットとヘンリー2世を描いた伝記映画であり、ジャン・アヌイの戯曲が原作である。」

 私がジャン・アヌイを知らなかったのだ。

 主演は、ピーター・オトゥールとリチャード・バートンで、なかなか見応えありそうな予感(まだ冒頭部分しか観てない)

タランティーノ2025/04/08 01:15

 タランティーノがイスラエル支持というのを知って、すごくショックかといえば、よく分からない。誰が何を支持しているかに驚いてみせることがデフォルトみたいになっている。どこもかしこもおかしなことが起き過ぎているからだ。自分何言ってんのかな。 
 タランティーノ作品には、私が好きと言える作品があるという事実だけを残す。観ていないものがあっても観ることはないかな。その気にならないだろう。
 イスラエルは虐殺を続けている。人間も虫もそこだけは平等に。

「阿修羅のごとく」2025/03/27 02:25

 森田監督版(2003)を観た。三女滝子と、恋人になる調査員が受け入れ難かった。NHK版で三女を演じた石田あゆみと、調査員宇崎竜童がダントツに良かったので、ヘラヘラしているだけのようにしか見えない、森田演出の調査員中村獅童はいただけなかった。どこかきちんと大人でないといけませんのに。三女もメリハリがなくて、脅しに怯まず四女を守る猛々しさこそが見どころなのに、驚くこともできない。
 初めて観たから音楽も初めてだ。流れてきて、あ、TANKAと思った。映画の中で流れるのは「Comme à la radio」だが、それが入っているアルバムの中に「TANKA」があるのだ。何度も聴いていたから、ひとつの音楽のようになっている。映画の中での使われ方はは、とてもいいと思った。
 是枝監督版は観たいが観られない。Netflixは解約したのだ。うむむ。
 仕方ないのでNHK版を再度観る。いい。石田あゆみは勿論、みんないい。次女の夫が緒形拳から露口茂に変わったのは残念だったけど諦めつくか。
https://www2.nhk.or.jp/archives/articles/?id=C0010390

「愛のメモリー」(1976米)2024/12/29 01:38

 クリフ・ロバートソン、ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド、ジョン・リスゴー出演、ブライアン・デ・パルマ監督作品。タイトルは知っていたが、観たことがない作品だ。タイトルの「愛のメモリー」は、原題「Obsession」と並べると、うーむと一息おいて、まあ分からんでもないという感じ。
 ヒッチコックの味わいが濃いから、音楽の使い方なんかも含めそこは楽しもう。
 ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドは期待通りと思うのだけど、今では知る人ぞ知るような女優に対しての感覚だから、面目躍如だとか云うのも最早伝わる気はしない。しかし彼女の独特の顔立ちが、そういうのにとても似合っているのよ。不思議な人だ。
 複雑な気分で終わるので、監督や役者に興味があれば一見の価値ありかな。
 フィレンツェの風景に、サンタ・クローチェ聖堂内の場面があり見入ってしまった。

「バーディ(Birdy)」(1984)2024/11/23 23:53

 本当に私はこの映画を観ていたのだろうか。記憶は貧相な断片でしかなく、「鳥になり切った若者の話」とあるだけだ。ストーリーがまるで思い出せなかった。半分のところまで来たが、初めて観るに等しい状態である。
 苦しみに満ちている。若者二人の物語は誰にも理解されない。

 どの映画も面白くないとか、興味が湧かないとかいうのではなく、中の登場人物を眺めるともなく眺めている自分に気づく。それは、割といい時間になっている。

「シビルウォー アメリカ最後の日」2024/11/09 03:09

 「シビルウォー アメリカ最後の日」を観た。"キャプテン・アメリカ"ではないよ。
 「エクス・マキナ(2015)」の監督アレックス・ガーランドの作品だ。それに「私を離さないで(2010)」の脚本と制作総指揮の役割を果たしていたのは気が付かないでいた。
 「エクス・マキナ」といえば、以前配信で観たときは、ちょうど伊藤計画の「虐殺器官」を読んでいたんだが、それらのディストピアっぷりに絶望感のダブルパンチを喰らい心の元気を失ったことがあったっけ。「私を離さないで」もやはり通底するものがあって監督に制作意欲を沸かせたんだろうか。小説の方はもっと切なく迫るものがあったよね。
 アメリカではトランプが大統領選に勝った。小池百合子を都知事にしている時点でアメリカに起きたことをいろいろ言えないので「シビルウォー アメリカ最後の日」は神妙な気持ちで観た…なんて、愈愈スズシイカオシテイエナイ。
 
https://happinet-phantom.com/a24/civilwar/

ボブ・フォッシーはダンスの名人2024/08/20 01:29

 ボブ・フォッシー繋がりで「オール・ザット・ジャズ(1979)」「マイ・シスター・アイリーン(1955)」を劇場で観る。
 「オール・ザット・ジャズ」は、劇場で観るのは二度目だ。モダンで不気味、不健康がボブ・フォッシーの持ち味だろ、と思い込む一作。
 もう一つは振り付けがボブ・フォッシーというので「マイ・シスター・アイリーン」を選んだが、これは1955年作品で日本未公開だから観ていないし、古いからこそ見たかった。美人で愛嬌のあるアイリーンを好きになる男が痩せて貧相な感じすらする俳優だったが、フレッド・アステア並にダンスが上手いのでびっくりしていたら、それがボブだった。クレジットではRobert Fosseとなっていたから後に愛称にかえたんだね。それが24年後に「オール・ザット・ジャズ」で自ら、自分の人生を描くミュージカルの演出をするのだ。
 ジャック・レモンがいい感じを出していた。やはりあんな感じの俳優あまりいないな。好きだ。
 テレビドラマ「奥様は魔女」の初代"ダーリン"を演じたディック・ヨークもここで見るとは思わなかった。
 
 ミュージカルは所謂ウェルメイドというのだろうか、そんなのばかりを見ていたような気がする。そこに「ウェストサイド・ストーリー(1961)」が来て驚いたのか。ロミオとジュリエットがそもそもあまり好きでないので、素晴らしいと思うものの好きと言い切れない個人的感想。それから「オール・ザット・ジャズ」でハリウッドのミュージカルの時代が変わったと思ったんだったかな。
 適当すぎる記憶を繋げたので、あとで検証が必要だ。

「ボブ・マーリー ONE LOVE」2024/06/21 00:48

 いい噂があったので慌てて上映館を探して観に行った。よかったよ。イギリスに渡っている間の音楽的な接点としては、白い暴動に触れている場面があった。
 アルバム「エクソダス」が生まれるとき映画「エクソダス 栄光への脱出」のテーマが流れる。作品の中身についてはちょっと横に置いといて、音楽はいいもんね〜。余談だが、ポール・ニューマンが出てるので観ていた映画だ。今回一層深刻になったパレスチナ問題で再見したが、どこまでもハリウッドなんだなと思いながら観たよ。今だって理解していないが昔はそれ以前。
"地球上の政府は全部違法" Bob Marley

 日本は音楽に政治を持ち込むなって言えるほど幸せで良かったよな。

日々は蔓草2024/06/03 00:45

 「渇いた太陽」を観てから二日後にポール・ニューマンの自伝の翻訳本が書店に並んでいるのを見た。奥付見たら2023年初版とある。やっと昨年翻訳されたんだろうか。1960年代の映画に出た俳優はもうとっくに亡くなっている。誰がその自伝を手をにとるのだろう。欲しいけど私は買うのを躊躇った。高いから。
 余談だが高いことに不満はないよ。出版界、とりわけ翻訳本を世に出すのは実に厳しい状況らしいの。
 二軒目の書店で手に取ってみたのはジョディ・フォスターが表紙になっているメンズ誌だった。U-NEXTで見た「ナイト・カントリー」という警官ものミステリーは、優れた人物描写と複雑な背景の描き方がとても上手かった。ジョディ・フォスターが主演だが、相棒となるネィティブの血を引く女性を演じる俳優がまた素敵。これは「トゥルー・ディテクティブ」というシリーズらしくて、キャスティングも製作姿勢もとても見応えがあって好き。「ナイト・カントリー」は彼女の仕事復帰二作のうちの一つだと、そのメンズ誌の記事で知った。彼女は60代だ。
 古典的な写真技法のプルシアンブルーが目に焼きついた翌日、広重が「べろ藍」と何度も叫ぶドラマを配信で見た。長塚京三が北斎だ。今までと違う長塚京三にびっくりしちゃった。いいな。

アカデミー賞2024/03/12 04:23

 アカデミー賞の授賞式があった。最近はたいして興味が持てず、すぐにも結果を知りたいとまで思わなくなっているんだけど、Xでロバート・ダウニー・Jr.とエマ・ストーンへの失望がやたらにポストされているので興味を持った。
 去年の受賞者キー・ホイ・クァンを無視してトロフィーだけ受け取ったように見えるロバート・ダウニー・Jr、ミシェル・ヨーからトロフィーを取り上げ、隣の女優から貰うような仕草で喜びを表すエマ・ストーンの映像を見た。
 後でハグしてたとか擁護もあるみたいだけどやっぱりそれには違和感を感じる。だって画像ではアジア人を避けているのがあからさまだものね。それも同じ年で二人だ。嬉しさのあまり相当うっかりしたんだろうか。
 ハリウッドは正義や公正さを訴え大きな権力を倒すなんて作品を作るけど、それらが構造上一種幻想だってことは分かる。
 現実には「あいつらゴキブリと同じなんで殺して当然、いくつ殺したか言ってみな。褒めてやる」が一部罷り通っている場所が地球に厳然として在る世界なんで、アカデミー授賞式で〇〇人スルーくらいはなんてことない縮図だよね。
 余談だけど、英語圏メディアが彼らの行為について批判が溢れていると報じているのもシェアされてた。そういうのは早いね。