「アンモナイトの目覚め」メアリー・アニングのこと2023/07/16 02:15

 映画配信サイトで「アンモナイトの目覚め」というタイトルが目について、見始めたらそれが「大英自然史博物館展」(2017東京科博)で見た肖像画に残された女性の話とわかった。展覧会のカタログのそこに載った肖像画ををよく覚えている。それはメアリー・アニング(Mary Anning、1799年5月21日 - 1847年3月9日)という化石蒐集家として有名な女性だ。
 この映画をきっかけにメアリー・アニングについて検索をかけたら、2022年12月24日毎日新聞に彼女の銅像ができたという記事があった。「少女はなぜ首長竜の化石を発見できたのか 男性中心社会で英学会に入れず 今年ようやく銅像に」
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20221220/pol/00m/010/007000c

 Google Arts&Cultureにもあった。メアリーが発見した化石は勿論、スケッチも見られる。
https://artsandculture.google.com/story/PgXB8g-VfbBAJA?hl=ja

 1999年に日本古生物学会の公式機関誌「化石」に一つ文章があり、これはJ-STAGEに2017年に公開されている。
「メアリ・アニング (Mary Anning 1799-1847) 研究に学ぶこと」矢島 道子
https://doi.org/10.14825/kaseki.66.0_34

 アニングに焦点を当てる意味を考えるというところが、何周も遅れて目にした私には当然新鮮に写った。これで初めてアニングに興味を持つ意味を認識できてゼロ地点に立てるという気がした。地質学に限らずその発展途上において陥る、興味と発見の事実に目を奪われる時期は避けられないのだが、必ずいつか行き詰まり仕方なく立ち止まった時に気づくのがアニングのような存在で、そこからやっと見直しが始まるということか?何言ってんだ?

 映画はアニングの愛情生活に重点が置かれている。化石採集家としての彼女の経歴はある程度知られているけれど、新たな資料がもとになったか、それ以外の人生の側面に目を向けているという点でとてもいい映画だと思った。

 蛇足だけど、児童向けの本が数多くあることも知らなかった。何を今更な感じでお小さい方々の方が私などより彼女のことをよく知っているみたいだとわかった。というわけで、自分の不明を恥じているところだ。

企画展「毒」国立科学博物館2023/01/19 02:29

科博企画展「毒」に参上。 
「秘密結社鷹の爪」とのコラボで解説パネルにしばしば登場する総統と吉田くん。このコラボ、知らなかったからそこはちょっとだけ興奮。
導入解説からの最初のブースには、バカでかい蜂と蛇と蛾の幼虫の模型。唸った。よくできている。どこから毒は出るのか。蜂の産毛的体毛(頭部だけだったかな?)まで再現されていて見飽きない。虚仮威しだが、つかみはオッケー。
キノコ、海の生物、脊椎動物、爬虫類、昆虫、植物、鉱物…etc.あらゆるものに毒はあると改めて認識した。
そういえば鉱物のコーナーで「辰砂」があって、何故だか私はずっと「鉄」が多いから赤いのだと思いこんでいた。全く違うので、辰砂を加熱すると水銀蒸気を発生させ感覚障害を起こし、時には死に至るというあの水銀だったとは。
具体的な毒自体の展示の次は、毒で死刑になったソクラテスとプリニウス、毒の近代の研究者などの紹介が並ぶ。近代のその研究者に関して興味がある。その名はフリッツ・ハーパー。誰かもう一人いたようだったな。
最後のブースには科博の研究員たちの研究分野に関するアンケート(研究分野がキノコなら好きな毒キノコはなんですか?みたいな)などがあり、展示は終わる。
最後は毎度冷やかし、グッズ売り場だ。ベニテングタケのぬいぐるみ大サイズ11000円、小サイズ2640円、ツキヨタケ3080円。しばし笑う。誰が買うのか。
図録はハードカバーで2400円、触り心地やページをめくる感じは良かった。購入を少し悩む。
画像は魅力的な表情で標本にされたコモドオオトカゲ。唾液に血液凝固阻害や血圧を低下を引き起こす成分を含む。

西洋美術館の"版画で「観る」演劇 フランス・ロマン主義が描いたシェイクスピアとゲーテ"にも未練があった…