ねこの避難/サンドラのこと ― 2024/10/01 23:21

台風が接近してきて「避難」の文字が踊ると、サンドラのことを思い出すのはパターンになっている。何年か前に強烈な台風がやってきた時のことだ。
当時その台風情報によれば、今まで経験のない酷い被害を覚悟しろというくらいの強さだったので、ゼロメートル地帯でマンションの一階に住む現実を考えた。それで避難場所が目の前の小学校だったから移動が楽であったこともあり、サンドラを連れて避難することにした。
しかし災害を予測しての避難は初めてだったせいか、緊張が災いして判断が悲観的な方に傾いて行った。ペットのキャリーやケージは小学校の一階の入り口付近に置くことになっている。そこにいれば、サンドラが聞きなれない犬や猫の鳴き声に怯えるに違いないとか、浸水は必ずある、だから低い場所に置いてはおけない、溺れさせてはならない、なんとしても助けるという考えにガチガチに捉われてしまった。そこで、サンドラだけマンションの5階に住む友人の家に預けることを考えたのだ。
しかし、それは慣れた環境以外は恐怖の対象でしかないサンドラにとって、拷問に近かった。今までいた猫たちの最後の生き残りであるサンドラをこれ以上ないくらい大切に考えてきたのに、おかしなバイアスがかかってしまったせいで、サンドラが本当に望むことを見失った。
生かすことを願ったにもかかわらず、私のしたことはサンドラの命を縮めた。家族の避難に付き添って留守の友人の家にただひとり預けられたサンドラの心臓が、恐怖と不安で早鐘のように打ち続けられたのは確かだ。そこで命が削られた。
その年の12月の中旬を過ぎた頃、サンドラの後ろ足の肉球を触ったらひんやりしてた。そのひんやりは独特なもので経験則による直感のようなものだけど、床を歩いた冷たさとは違うと私には分かっていた。寿命の尽きるときが近い徴候だ。翌年の2月にサンドラは死んだ。避難からたった4ヶ月だ。
こんなふうに文字にすると、気持ちをコントロールできなくなってただやるせない。
miss you Sandra.
当時その台風情報によれば、今まで経験のない酷い被害を覚悟しろというくらいの強さだったので、ゼロメートル地帯でマンションの一階に住む現実を考えた。それで避難場所が目の前の小学校だったから移動が楽であったこともあり、サンドラを連れて避難することにした。
しかし災害を予測しての避難は初めてだったせいか、緊張が災いして判断が悲観的な方に傾いて行った。ペットのキャリーやケージは小学校の一階の入り口付近に置くことになっている。そこにいれば、サンドラが聞きなれない犬や猫の鳴き声に怯えるに違いないとか、浸水は必ずある、だから低い場所に置いてはおけない、溺れさせてはならない、なんとしても助けるという考えにガチガチに捉われてしまった。そこで、サンドラだけマンションの5階に住む友人の家に預けることを考えたのだ。
しかし、それは慣れた環境以外は恐怖の対象でしかないサンドラにとって、拷問に近かった。今までいた猫たちの最後の生き残りであるサンドラをこれ以上ないくらい大切に考えてきたのに、おかしなバイアスがかかってしまったせいで、サンドラが本当に望むことを見失った。
生かすことを願ったにもかかわらず、私のしたことはサンドラの命を縮めた。家族の避難に付き添って留守の友人の家にただひとり預けられたサンドラの心臓が、恐怖と不安で早鐘のように打ち続けられたのは確かだ。そこで命が削られた。
その年の12月の中旬を過ぎた頃、サンドラの後ろ足の肉球を触ったらひんやりしてた。そのひんやりは独特なもので経験則による直感のようなものだけど、床を歩いた冷たさとは違うと私には分かっていた。寿命の尽きるときが近い徴候だ。翌年の2月にサンドラは死んだ。避難からたった4ヶ月だ。
こんなふうに文字にすると、気持ちをコントロールできなくなってただやるせない。
miss you Sandra.
最近のコメント